第31幕 防備を整う から
ここは揚州、杜麗娘の父杜宝は李全の勢力を抑えるために新たに城をつくり今日はその落成祝賀の日 ですが杜宝はそうそうに酒宴を終りにし防備を固めるように指示します。
早晩に金の兵 侵し来りて無礼はたらかん
砲・箭・旗・槍を備えよ
・・
文武のものよ 粛然として詳らかに見よ
辺塞のあたり 烽火あがり一声の砲の響かうを
早晩に金の兵 侵し来りて無礼はたらかん
砲・箭・旗・槍を備えよ
・・
文武のものよ 粛然として詳らかに見よ
辺塞のあたり 烽火あがり一声の砲の響かうを
柳夢梅石道姑と小道姑は声の主を確かめようと部屋へ押し入ります、その時、風がおこり杜麗娘は身をかわして消えてしまいます。
それにしても、あなたのお出でになる足音の軽いのは、なぜでしょう。
杜麗娘
”自然は跡無くまた塵無し
柳夢梅
白日尋思して夜夢頻(しき)りなり
杜麗娘
行きて窓前に到り未だ寝ねざるを知る
柳夢梅
一心惟だ待つ 月夫人”
石道姑柳夢梅はせっかくの逢瀬を邪魔され「興ざめだ 興ざめだ」とがっかりします。
屏風より人ぬけ出し 歌いつ舞いつ
君と相和せし 妖魔ならずば
なにの人影ぞ 風を望みてかくれし
他年蟾宮の客に傍うを得ばこれを聞いた杜麗娘は扉をたたいて柳夢梅を起こし再会します。
是れ梅辺ならずば是れ柳辺、
ああ お嬢さん
(杜麗娘)柳夢梅も応えます。
・・牡丹亭のほとり 嬌めかしき夢
築山のほとり 羞しき夢
書読む窓べ 風ぞ訪なう
この良夜ともに語らば
清風名月もものならず
・・われを知りて訪いぬこのあと夜毎杜麗娘は柳夢梅のもとを訪れることになります。
北斗はかたむき 花低く垂る
かかる夜更け 花も睡らん
笑いさざめき 口ずさめば 風月も及ばず
艶にして嬌めかしき君よ 思いのままに遊ばん
君わずらわさんも わずらわすはしばし
(杜麗娘)
あなたさま。 とくと調べませ 春たつ風の初花を
悲しみに胸ふさがると泣きます、花瓶に活けられた*残んの梅をみて
破れし垣 荒れし小径
ああ、梅の花も、この麗娘が蕾のうちに散ったのに似て、ほんとに可哀そうにとまた泣きます。
香の煙は風に消え 月は廊を照らす*残んの(のこんの):残っている
ふと現れて隠れし 魂の影のさびし
花落つる春の宵 心の傷つきやすし
早く天堂にのぼれかし 早く天堂にのぼれかし
とどまる勿れ 他郷に故郷に
2010年6月22日(火) 06:00~06:55
NHK-BSHi 《ハイビジョン クラシック倶楽部》
「イアン・ボストリッジ&ジュリアス・ドレイク」
ベンジャミン・ブリテン(ウィリアム・スーター詞)
:歌曲集 「この子らは誰?」 Op.84より
悪夢/殺戮/この子らは誰?/子供達
ベンジャミン・ブリテン(ト-マス・ハーディ詞)
:歌曲集 「冬の言葉」 Op.52
11月のたそがれ/真夜中のグレート・ウェスタン鉄道/
セキレイと赤ん坊/古い小机/聖歌隊長の葬式/
誇らしげな歌い手たち/アップウェイの停車場にて/
生まれる前とそのあと
ノエル・カワード:ひとりだけの旅/あなたと行けたなら/
20世紀のブルース/パリの道化
コール・ポーター:夜も昼も/いつもさよならを
<2008年11月13日収録>
近く覩て分明 儼然たるに似たりを見てまるで自分のことのようだと思います。
遠く観て自在飛仙の若(ごと)し
他年 蟾宮の客に傍(そ)うを得ば
梅辺に在らずんば柳辺に在らん
丹青の妙処 卻って天然そして柳夢梅はこころをこめて画中の美人に呼びかけます。
これ天仙ならずんば即ち地仙
蟾宮に傍わんと欲す 人近遠
恰(あたか)も春は柳梅の辺に在り
美しいお方
美しいお方
お嬢さん
お嬢さん
(甄氏・春香)2009年11月上海蘭心大劇院で行われた中日版牡丹亭の公演で甄氏・春香を演じたのは蘇州昆劇院の朱恵英さんと沈国芳さんです。
思い切なく胸いたむ 恨めし
娘の命の絶たれ 母のかくも忍ぶ
門は鎖せるまま 忘られし桃源郷か柳夢梅はその庭のようすに悲しみを見て取ります
荒むに任せし佳き眺め
水閣のくだけ 煙(もや)のうち 見えつかくれつ
屋形舟 打ち捨てられ
鞦韆(ぶらんこ)は人影なく垂る
断腸の思いせし人あらん 傷心のことども多かりしここで築山の石の陰に画の入った小箱を見つけます、観世音菩薩の笑顔が描かれている画をみてよろこび書斎へ持ち帰ります。この画は杜麗娘が生前自身を写したものでした。
情(こころ)にかけじと思えど
湖山石のほとり そぞろ歩きせん