
中国古典文学大系53戯曲集下還魂記(岩城秀夫訳)119頁
第27幕 魂の出遊 から
ここは杜麗娘を供養するために建てられた梅花観、石道姑は亡くなって3年になる杜麗娘のために生前好きだった*残んの梅をきれいな花瓶に挿し 道場(亡魂を弔う儀式)を開いています、と、不思議なことに冷たい風が吹いてきて道姑たちが去ったあとに杜麗娘が現れます。荒れ果てた庭をみて
悲しみに胸ふさがると泣きます、花瓶に活けられた*残んの梅をみて
破れし垣 荒れし小径
ああ、梅の花も、この麗娘が蕾のうちに散ったのに似て、ほんとに可哀そうにとまた泣きます。
その時 柳夢梅が杜麗娘に呼びかけている声が聞こえます、しかし夜もふけ長くとどまれないので祭壇の梅の花をちらして去ります、去り際に道姑のひとりとすれ違い姿を見られます。道姑たちは杜麗娘の霊魂が現れたのを知って天上に成仏できるよう祈ります。
香の煙は風に消え 月は廊を照らす*残んの(のこんの):残っている
ふと現れて隠れし 魂の影のさびし
花落つる春の宵 心の傷つきやすし
早く天堂にのぼれかし 早く天堂にのぼれかし
とどまる勿れ 他郷に故郷に
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