2013年11月11日月曜日

醜い生@高見順詩集「死の淵より」

最近高見順の詩集「死の淵より」を読んだ、銅版画家堀井英男がその詩集から10篇を選んで詩画集をつくっていたから・・・とても怖くて読みたくはなかったけれど 詩集のどの詩が堀井英男の心にふれたのだろうと思ったの。
高見順を読むのは初めてで、とても重いことを詠んでいるのになんてやわらかなのだろう、「ひとえにこのすばらしい光のせいだ」がいいなぁ、どんな人だったのかしら・・
高見順 詩集「死の淵より」から

「醜い生」

あなたは私から去って行く

闇のかなたにやがてあなたは消える

闇のなかにあなたが溶解するとき

私はここでこのまま溶解する

まぶしいぎらぎらする光のなかで

私はすべてを失うのだ

それは決してあなたのせいではない

美しいあなたが私のなかから出て行って

私に残されたものが何もないからではない

ひとえにこのすばらしい光のせいだ

醜い生にも惜しみなくそそがれるこの光のなかで

生きられるだけは生きたいのだ

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