高見順を読むのは初めてで、とても重いことを詠んでいるのになんてやわらかなのだろう、「ひとえにこのすばらしい光のせいだ」がいいなぁ、どんな人だったのかしら・・
高見順 詩集「死の淵より」から
「醜い生」
あなたは私から去って行く
闇のかなたにやがてあなたは消える
闇のなかにあなたが溶解するとき
私はここでこのまま溶解する
まぶしいぎらぎらする光のなかで
私はすべてを失うのだ
それは決してあなたのせいではない
美しいあなたが私のなかから出て行って
私に残されたものが何もないからではない
ひとえにこのすばらしい光のせいだ
醜い生にも惜しみなくそそがれるこの光のなかで
生きられるだけは生きたいのだ
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