2018年9月4日火曜日

光と闇@幽玄

2018.9.3
歌舞伎座秀山祭夜の部 新作歌舞伎舞踊「幽玄」を待ちきれず見にいきました。
全力集中して観劇しました、ノックアウト状態は久しぶりで あぁなんと消耗したことか 台風が迫った蒸し暑い夜に家に辿り着く力が残っていてよかった。

光と闇の世界を堪能しました、光と闇といえば 壮大な宇宙まで連想してしまいました。

光の世界は清明な「羽衣」です、伯竜他釣り人たちは姿・服・仕草などとても品がよく 漁師というよりは釣りを楽しむ天上人であり そこへ一段上の天界からやってきた天女が現れます、天女というよりは菩薩だ・・すばらしい唐織の装束をまとい あの鳳凰の羽で織られたような長絹の黄金色は時に茜色にキラキラと輝きます、夕焼けの空じゃない?
唐織はすばらしい朱に金の青海波に松や梅の模様でした。

そして ずっと見たかったものをみることができました、能面を着けない能 それは玉三郎さんにしかできないと思います、面を着けないためにシテの詞章をはっきり聴けるのです、それもシャンソンコンサートで鍛えられた喉から発声されるすばらしい声です、舞はお手の物でほんとうにすばらしい舞台でした。

闇の世界は「道成寺」です、舞台がパッと明るくなるのは最後のところだけだったと思います、スポットの照明で表される情念や妄執がすごいです、今回作り物の出雲の大蛇ではなく 玉三郎さんは日本振袖始で演じるヤマタノオロチのいでたちで登場しました、その出が怖かったです、頭を覆った美しい糸巻模様の唐織の下はきっと般若の面、般若の面よね と集中していたらなんと隈取でオロチになっていました、そしてオロチが大見得を切ります。。

鼓童の太鼓は羽衣では大打ちするところがなく静かに囃子方に徹していたのですが「道成寺」では歌舞伎座の大空間に響き渡る大音響でした、ほんとうに消耗したのでございます。。

大団円の大人数の登場と鼓童が作り出す舞台は歌舞伎座でも狭いくらいで さらに大きな舞台がふさわしいかと思いました。

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