2018年9月18日火曜日

能 遊行柳 観世流 @国立能楽堂

2018.6.15
国立能楽堂
遊行柳 青柳之舞 観世流
 前シテ 老人 坂井音重 面:三光尉(さんこうじょう)
 後シテ 老柳の精 坂井音重 面:石王尉(いしおうじょう)
 遊行上人 殿田健吉
 大鼓 亀井忠雄
 小鼓 観世新九郎

4月にみた西行桜の桜色ともいうべき舞台に感動したのと 柳が好きなので柳の精をみたくてチケットをとりました。

今にも朽ちそうな老柳(の精)が遊行上人から南無阿弥陀仏の念仏を十回唱えてもらい仏の世界へ成仏していくお話しでした。

老柳は誰も通わないふる路にあります、荒れ果てた風景を地謡がうたいます、
人跡絶えて荒れ果つる、葎(むぐら)蓬(よもぎ)生(う)刈萱(かるかや)も、乱れ合ひたる浅茅生(あさじう)や袖に朽ちにし秋の霜、露分け衣きて見れば、昔を残す古塚に、朽木の柳枝さびて、蔭踏む道は末もなく、風のみ渡る気色かな、風のみ渡る気色かな
(プログラムより)
深緑の絹に覆われて柳の枝葉が上部に置かれた作り物の中から老柳の精が登場します、その姿に衝撃を受けました、伸びた白髪に囲まれた面(石王尉)は老人というより血の気のない頬のこけたデスマスクのような面で それほど年老いてもまだ朽ちたままこの世にあって成仏できないということを一瞬にして理解できました。

遊行上人から有難い御法の念仏をいただいて老柳の精は喜び舞って成仏していきます。
教へ嬉しき法の道
青柳に鶯伝ふ、羽風の舞
柳の曲も歌舞の菩薩の、舞の袂を返す返すも、上人の御法を受け、喜ぶ
報謝の舞も、これまでなりと、名残りの涙の
暇もうさんと、木綿附(ゆうつけ)の鳥も啼き・・
(プログラムより)
老い 成仏 ・・ 「死」をこんなに軽々と越えていけたら。

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