2014年12月11日木曜日

「モノ・プリズム」2014.12.10

早稲田大学交響楽団 冬季演奏会
2014年12月10日
新宿文化センター大ホール

石井眞木(1936-2003)作曲の 日本太鼓とオーケストラのための「モノ・プリズム」 を聴きにでかけました、「モノ・プリズム」の初演は1976年7月25日アメリカで小澤征爾さんの指揮によりボストン交響楽団と林英哲さん・鬼太鼓座メンバーによる和太鼓で演奏されたそうです。
以前 世田谷パブリックシアターで林英哲さんが演奏する石井眞木作曲の「モノクローム」をきいてショックを受けたことがあって それ以来機会があればぜひ「モノ・プリズム」を聴きたいと思っていました。
寺岡清高指揮、早稲田大学交響楽団オーケストラ総勢96名、林英哲さんと英哲風雲の会の方6名の構成でした。

プログラムに石井眞木自身の言葉による 「モノ・プリズム」の解説が載っていたので引用します。
 第Ⅰ部 「序」(1975/Op.26)の冒頭の弱音は、全体のオーケストラ音響を象徴し、アジアに伝わる響き、リズムを誘導する。響きの層の起伏は、連続と非連続の内に日本太鼓の登場を暗示する。
 第Ⅱ部  「モノ・プリズム」の日本太鼓の最弱音は、東洋の太鼓伝統への挑戦を象徴している。
可聴限界の囁きの展開から何が生じるのか。東洋の太鼓伝統には弱音―囁き、幽けき音たちは存在していなかった。太鼓は祭礼の中心で、強烈な響きと律動で天地をざわめかせ、霊を目覚めさせてきたのだ。太鼓を極限まで打ちつづける時、太鼓の響きー「人籟(じんらい)」は、自然界の響きー「地籟(ちらい)」へ変換する。最強音の連打に<時>は静止し、新しい響きが生じる。太鼓の<凝固するとき>、<堆積する響き>、それをオーケストラ音塊が断ち切ろうとする…。<人>の行為による西洋の響きが、風が樹木に触れる響き、火焔が燃え立つ響き、<大自然の鼓動>と一体となる。
 この曲のタイトルは日本太鼓の単色―モノクローム、オーケストラのプリズムの合成語である。太鼓群は、確定的リズム(単純性)から不確定的リズム(複雑性)へ、あるいはその逆方向へ移行しながら、<螺旋状>に進行―旋回する。またオーケストラは、この太鼓群の動きに異質な音響的、時間的要素をプリズムのように放射していく。
とても興味深く緊張して聴きました、オーケストラの響きが消えてしまうほど日本太鼓の響きは強烈です、パリオペラ座で聴いた石井眞木の「輝夜姫」を三つくらい合わせたような大迫力でした。
「可聴限界の囁き」の太鼓の音は日本の太鼓伝統への挑戦だったのね・・「地籟(ちらい)」は大自然の音なのね、響きが堆積したり凝固したり、それが襲ってくることだってたしかにあるわ、そうすると鳥肌がたつのよ。

2015年2月から3月にかけてヨーロッパツアー(ドイツ・フランス)が予定されているそうです、出発前2月12日にはサントリーホールで演奏会が行われます、もう一度聴きにいこうかな。

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