2016年1月13日水曜日

坂東玉三郎さんの真柴@茨木

2016年1月の壽初春大歌舞伎 昼の部の「茨木」を観ました。
花道そばの席で坂東玉三郎さんの真柴が花道をやって来るところから 最後 鬼の茨木童子となって花道を六方を踏んで飛んでいってしまうまで とてもおもしろく引き込まれました。
 素晴らしい!この演目「茨木」がとても気に入ったわ。 
坂東玉三郎さんはほんとうの 役者だ・・ 
魅せてくれるし 新鮮な驚きを感じさせてくれる。
品のよい老婆が 物凄い形相の鬼!の姿になって 自分の腕を取り返して飛んでいってしまうという架空のお話の世界が歌舞伎座に出現していて そこに自分がいることが心底嬉しかったわ。

白木の匂いがするような松羽目の舞台に三味線長唄笛太鼓鼓の方々が正面2段に並んでいます、鬼の手を切り落とした松緑さんが物忌みの最後の日を過ごしているところに 鬼が伯母真柴に化けて花道から登場します。

闇から音もなく静かに花道をやってくる白髪の老婆の玉三郎さんに驚くのです、なんと品のよいお姿、高貴にさえ見えます、黒地に薊?の刺繍がすばらしいお着物に さらに萩や桔梗が茶の濃淡で刺繍?されている? あれは 唐織というもの? すばらしい能装束のような上着をまとい 白髪に鬘帯をし 細い丈のある杖をついてやってきます。 あの色彩のまとまりったら なんと完璧なのかしら、舞台写真を買わなくちゃ。
 
妖艶なとか豪奢なという玉三郎さんの女形の造形に 女性を超越したあの見事な老婆も加わわるのね、というか 鬼であればあるほどますます品があるということ? いったい品とはなにもの?
だって老婆は時に口元がニヤリとするし、眼付だってうろんになるのよ! 白髪から鬼の角がでるように杖を使ったり、お~ 怖っ。

怖いといえば 坂東玉三郎さんの真柴が発する「聲」です。
松緑さんが決まりを破って真柴を呼び止めてしまうのですが それに応える坂東玉三郎さんの地の底から湧いてくるような低い聲が おそろしい。

もう一度真柴をみにいきたい。

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