2016年7月30日土曜日

「奇蹟」はいまもつづいている@坂東玉三郎講演会2016

7月25日の坂東玉三郎講演会-演じるということ2016-は とても とても面白かったです、ひとえに明治大学学長土屋恵一郎さまのおかげでございます。

学長は玉三郎さんを見始めて50年、玉三郎さんに心酔しておられてお顔をみるだけでも 話しているだけでも幸せとおっしゃっていました。 
学長は古典芸能や芸術に造詣が深いので 玉三郎さんに投げかける質問はまことに的を得てらっしゃいました。またそれに答える玉三郎さんが誠実に心の裡を語ってくださるのです、時にとても面白く、時にとてもせつなく、いろいろな事柄について心のままに語ってくださるのでした。

私が一番こころに残ったのは 講演の最後のほうで学長がある質問をしたのです、まぁ 聴衆のほとんどは玉三郎さんのファンなので鷺娘と京鹿子娘道成寺の封印ということは聞こえていたと思います。
土屋学長はTV放送された道成寺の録画を心の支えに何度も見ていたらしいのですが もうボロボロになってしまったそうなのです、そこで
「道成寺を最後に踊るのはいつ頃でしょうか?」
そこから もう踊れないことの説明を玉三郎さんが言葉を尽くして話してくださいました。
しかし学長も武原はんさんの年齢のことをいったり、能の素踊りを提案したり、見る側は欲張りなので み た い! 挑戦してほしい とだだをこねるように食い下がりました。
玉三郎さんは歌舞伎座の25日踊り続ける華やかな興行としては無理、一回きりでもとてもたいへんなことで、
(私は)その日のぶん、いちにちぶん いのちがなくなるというふうにしたい、そこで燃えるだけのものを 燃やしながらも ちゃんと制御できている というふうにしたい。
その言葉をきいてわたしはとても感動しました。
「制御」というところがいかにも玉三郎さんらしいなと、テノールのボストリッジさまが聲を完璧に制御・コントロールしてすばらしい歌を聴かせるように玉三郎さんの舞踊もそうなのだと。。

堀井英男 銅版画 回転する像(80-1) 絵葉書より

夢中になることがなかったことが ある評論家の方々の気にいらなかったことだろうと推測し、夢中にならないように自制してきたことをおっしゃいました。 ご自分の心の裡で逡巡?するとき苦しいこと、など土屋学長に告白していらっしゃいました。
学長が提案される能については 能と歌舞伎は引き算と足し算の違いがあるし・・と。

話がはずむほどに学長はすっかり満足しているご様子、最後に三島由紀夫の言葉を引用して締め括り、大きな拍手で一部は終わったのでした。
三島由紀夫は(玉三郎さんをみて)奇蹟が起こった、若さゆえの奇蹟と書いていたが 僕は 今もなお奇蹟はつづいていて その目撃者としてこれから坂東玉三郎さんをみつづけていきたいと思います。 (土屋恵一郎明治大学学長)
私も奇蹟を見続けます!
(講演内容の聞き取りや理解に間違いなどあるかもしれません)

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