2010年2月19日金曜日

坂東玉三郎さんの八ッ橋

籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)をMargaretと息をつめて観ました。八ッ橋はなんといったらいいか・・観ることができてしあわせ。。

うつくしすぎる花魁が愛想尽かしをする場面
客席は物音一つなく全員が坂東玉三郎さんの八ッ橋と中村勘三郎さんの次郎左衛門とのやりとりを見守っていたわ、長い銀の煙管を畳に立て次郎左衛門に一瞥もくれず氷のようなつめたさで突き放す八ッ橋の凄絶な美しさ。

花魁道中はそれはもちろん豪華絢爛で風格もあって、そして 絶命する場面もそれは玉三郎さんの乱れた髪(飾り?)と海老反りがすごいのだけれど、やはり氷のように冷たく愛想尽かしをしてのける八ッ橋がわすれられない。 また仰向けて絶命した八ッ橋はまるで一枚の画のように象徴的だったわ。

帰り道は言葉少なく「今夜は眠れないわね」とMargaret。

お話には初めて知る言葉がたくさんあって
「籠釣瓶」は名刀のなまえ、起請文は気持ちを文書化したもの、八ッ橋と間夫(愛人)栄之丞は起請文を取り交わしていた。当時女郎たちは営業用に起請文を乱発していたらしい。 
助六で揚巻が「間夫がなければ女郎は闇」と言い放ったように 八ッ橋は身請けを申し出た次郎左衛門を選ばず心の拠り所である栄之丞を選んだのね、栄之丞はもちろん片岡仁左衛門さん、「ぢいさんばあさん」の無邪気にさえ見える伊織と間夫の栄之丞、対照的な役柄だけどどちらもよかったわ。

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