2010年3月17日水曜日

坂東玉三郎さんの覚寿

交換留学生(名前が母国語で「女王陛下」の意味の彼女)と一緒に歌舞伎座さよなら公演御名残三月大歌舞伎第三部を観ました。身長が高いので座席が窮屈でかわいそうだったけれど英語のイヤホンガイドを耳に 二時間ものむずかしい演目「菅原伝授手習鑑道明寺」を静かに見ていました。派手な動きが少ない演目ながらきちんと理解したのはインターナショナルバカロレアをパスした彼女ならではと拍手を送りたい気持ち。

管丞相の木像は今でも残っているらしいがどこで見られるのか、管丞相が神様のように崇拝されているのは何故なのか、など幕が下りて立て続けに質問されたけれど情けないことにちゃんと答えられなかったの、Margaretがいてくれれば・・
「文珠菩薩花石橋」はわかりやすく華やかで楽しんだようす、文殊菩薩を踊った鷹之資さんは小さいながら見事な踊りだったわ。

坂東玉三郎さんの「覚寿」は強く立派な人間性のある老女でした。
覚寿を演じる玉三郎さんの「力量」を感じたわ、大きな歌舞伎座の客席を一点にフォーカスさせるオーラというか それはけっして花魁や姫を演じる玉三郎さんの女形の美しさの力ではなくて演技力によるものなの。
映画「天守物語」の中で 亀姫が富姫に土産として持ってきた猪苗代亀ヶ城主の生首が血で汚れているのを
「汚穢(むさ)やの、汚穢やの、ああ、甘味(うま)やの、汚穢やの、ああ、汚穢いぞの、やれ、甘味いぞのう」
といいながらなめて清める茅野ヶ原の舌長姥の演技がとても印象的で 役者は誰かしら?とエンドロールを見て驚いたわ、玉三郎さんの二役だったの!Margaret知ってた? その驚きとおなじものを舞台の「覚寿」に感じたわ、老け役という見た目じゃなくて こちらを虜にしてしまう力という意味で。

Margaretがいってたように坂東玉三郎さんは百年に一度の「逸材」だと思うし生の舞台を観ることができるのはほんとうに幸せに思うわ。

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