2011年4月3日日曜日

坂東玉三郎さんの平家女人の亡霊@耳無し芳一

舞台上手に立った大太鼓を林英哲氏が打ち鳴らしてはじまる「耳無し芳一」、花柳壽輔氏が琵琶を弾くと 青い鬼火がくるくるまわり黒い僧兵のような衣裳の舞踊家たちが平家の怨霊となって登場します。

やがて 舞台背後の透けた海の幕のうしろ上手から舟がやってきます、(玉三郎さんがいるはず でも よくみえない・・)こんどは下手から舞台に舟がでてきます、玉三郎さんの登場です。

海から上がってきた平家女人の亡霊なので 月明かりに照らされて色がありません、床まで届くかと思われる豊かな垂髪がすごくゴージャスでとても印象的です。一瞬上村松園の「花がたみ」と「焔」を思い浮かべました。
灰色がかった薄い青緑の長い打袴、若草色の単?がのぞき その上に群青やえんじの波模様が描かれた月光をはねかえす銀色の打掛(うちき?)姿の玉三郎さんは見事な琵琶の音にさめざめと泣きます、手にした無地の檜扇の扱いがさらに大きく気持ちを表現しているようでした、扇の先が芳一の肩にふれると目が開きます、亡霊は芳一をあの世へ連れていきたいのです。。

舞が続きクライマックスに、芳一を捜す女人に般若心経がかかれたうすい衣を羽織った姿は見えなくて 唯一見えている(観客には見えているんですが)芳一の耳の後ろへ回り込むや むんずとひきちぎり 袂に入れて去っていきます。

耳無し芳一が海辺で琵琶を弾きふたたび舟に乗った帝と女人が現れ その音に聞き惚れる場面で終わりました。

坂東玉三郎さんの舞台はいつも何か新鮮な驚きを感じます、今回も月明かりの暗い浜辺なのに なんて印象的な舞台なのでしょう、品のある女人の亡霊の凄みがすばらしい・・! 

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