2017年4月9日日曜日

野守@国立能楽堂

2017.4.8
「野守」 観世流
前シテ 野守の翁  井上裕久
     朝倉尉(面)
後シテ 鬼神     井上裕久
     白頭 黒べしみ(面)
ワキ  山伏     大日方寛

あぁ とても面白かった
 
野守の翁は朝倉尉(あさくらじょう)という面を着けていました、白髪を束ね頭の上に結い 細い細い杖をつき 着物をきちんときて登場です、歌舞伎座で観た玉三郎さんの茨木の登場を思い出しました、とても品格のある老人です、朝倉尉の面が能面にしては妙にリアルで 過ごしてきた人生の豊かさを感じさせるような少しの笑みと悲しみのようななんともいえない面で ずっと面ばかりに集中しました。
時に老人でないような鋭い動きもあり ますます興味深々です。

その翁が水鏡のなかに逸れた鷹を見つける話をするとき これまた 玉三郎さんが花柳壽輔さんとドビュッシーの曲で踊られた舞台を思い出しました。
水鏡 鏡 何を映し出すのか・・

老人は塚のうちに消えます、舞台の上でアイが野守の鏡の故事を語るうしろの塚のなかで 衣装替えをします、そして鬼神の登場です。
白髪の頭に黒べしみの面をつけ 豪華に光る装束で登場しました、手には大きな丸い鏡を持ち その鏡を天に向け「悲想悲悲想天まで隈なく」(ひそうひひそうてん?どういう意味かな?天のなかの最上位の世界のことらしい)と謡います。

そして鏡を地に向けると地獄を映しだすのです、地謡が力強くうたいます、
まづは地獄の有様を現す一面八丈の、浄玻璃の鏡となって、罪の軽重罪人の呵責、打つや鉄杖の数々、悉く見えたりさてこそ鬼神に横道を正す、明鏡の宝なれ、すはや地獄に帰るぞとて、大地をかつぱと、踏み鳴らし、大地をかつぱと、踏み破って、奈落の底にぞ、入りにける (プログラムより)
力強く踏み鳴らして舞い 最後はドスンと胡坐で落ちて終わりました、すごい迫力でした。
奈良の春日野のある日のお話なんでしょうがスケールの大きさに感動しました。

0 件のコメント: