2011年8月10日水曜日

坂東玉三郎さんの船辨慶

「船辨慶」で坂東玉三郎さんは 義経の愛妾静御前と壇ノ浦の戦いで義経に滅ぼされた平知盛の霊の「静」と「動」まったく異なる二役を舞われました。

時空を超えて 平安神宮の舞台は暗闇に包まれた大物の浦になっています。
静御前は直に義経から別れの言葉を聞き 悲しい別れの舞を舞います。
黄金に輝く唐織の能衣裳で登場した静御前の玉三郎さんは「能」のように抑制された舞を踊ります。
悲しみに耐え切れず腰を落し手を顔にかざす姿がとても印象的、苦悩する静御前になぜか骨太なロダンの考える人を思い浮かべる・・それくらいポーズが美しいってことかしら。

ここまでは「静」の舞台、これからは船出して荒れ狂う嵐(平知盛の霊)に襲われる「動」の舞台になるので どんなふうになるのか期待でわくわくしました。

知盛の霊の隈取にみとれました、藍隈でした、6月のチャリティトークショーの会場で購入したサイン入りの船辨慶のポスターをだしてみてみた(墨色の隈取だった)が 今回ははっきりわかる藍色と墨色の恐ろしくも悲しい隈取で とても魅力的! こんな玉三郎さんを見たのははじめて、おおきな力強い舞もさることながら 弁慶に祈り伏せられて去っていく玉三郎さんの知盛の霊は平家一族の栄華を失った悲しみと怒りと孤独の影が表現されてすばらしかった。。
こちらも暗い海を永遠にさまようフライングダッチマンの船長が頭をよぎったのでした。

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