2014年10月17日金曜日

豪奢な万野さん@伊勢音頭恋寝刃

とんでもなく口の立つ万野さん、次から次へとないことないことで貢さんを追い詰めます。
いえ いえ そりや なりませぬ
おまえ、今宵中待つて居たとて、
所詮お紺さまには 逢はれぬほどに、
一文にもならぬ客に付合うてゐるのも
鬱陶しいものぢや
ちやつと ちやつと 去(い)になされ
( 日本戯曲全集. 第九卷 伊勢音頭恋寝刃より)
赤くふちどられた目の化粧とお歯黒の口もとから発せられる意地のわるい言いまわしがほんとに性悪な仲居にみえる、でも貢に斬られるところなんて なんて豪奢な万野さんなの と感じるのです。

灰色がかった濃紺の薄手のお着物ははりっとしていてとても上物でしょう? それを粋にきっちりベテラン仲居ふうに着こなし、少し傾いているかにみえる前掛けも 計算しつくされてつけられているし、きちんと結われている髪型と とても素敵なみどり色の簪、贔屓目にみているからかもしれないけれど なんだかモードとして完成していて しかも 斬られる後ろ姿に玉三郎さんの優雅さや品のよさや豪奢さがにじみでていて 観ている私はひそかによろこんだのです。

なんて豪奢な万野さん!

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