2010年10月2日土曜日

湯顕祖の牡丹亭(55)

同里退思園モザイク「寿」


中国古典文学大系53戯曲集下還魂記(岩城秀夫訳)270~282頁
第55幕 団円 から

天子の御前に杜宝と柳夢梅が冠・袍・笏の姿で立ちます、しかし二人とも挨拶さえかわしません。そこへ杜麗娘が登場して舞踏します。柳夢梅は妻を見て喜びますが 父は幽霊がすっかり杜麗娘に化けているのだといいはります。

「人であれば影があり、また鬼は鏡を怖がるので試すように」との聖旨をうけて陳最良は奏上します、
杜麗娘には蹤(あと)もあり 影もございます。
確かに人身でございます。
このあと杜麗娘は前に死亡し後に蘇った事情を奏上し、柳夢梅もこれまでの経緯を奏上し、母甄氏もまた奏上します。そしてついに聖旨が下されます。
朕 仔細に麗娘の奏するところを聴くに、重生のこと疑いなし。(略)父子夫妻たがいに相認め、屋敷に帰りて婚姻いたせ(一同万歳を唱えて去る)
しかし父はまだ大声で泣く杜麗娘を幽霊だといいはり、あげくのはては「柳夢梅と別れて帰ったら、認めるとしよう」など・・(単に可愛い娘をとられたくないだけの駄々っ子になっています)杜麗娘はあまりのことに悶え倒れます、その時やっと父の口から「おお、麗娘。」と言葉がでます。

石道姑・春香がそろったところで 柳夢梅の旧友韓子才が再び聖旨を告げに来ます、『奇異を奏せしに拠り、勅もて団円を賜る(各々に封ぜられた官位は略)韓子才をして送りて宅院に帰らしむ』
(柳夢梅)
今よりのちは 牡丹亭の夢と影 ともに描かん

(杜麗娘)
南枝の君のおかげにて 北枝の花 暖をうけぬ
あまねく天が下 幽魂の情ある
誰かわが如くなる
婿殿と舅殿 仲良くしてくださいね、これで湯顕祖の牡丹亭還魂記55幕が終わります、あとは10月6日の坂東玉三郎さんの日中版牡丹亭の幕があくのを楽しみに待つことにしましょう。

蘇州滄浪亭モザイク(福につうじる蝙蝠の模様)

3 件のコメント:

PASCAL さんのコメント...

CHRISTINAさん大団円まで到着おめでとうございます。長い物語が終わりほっと一息ですね。おかげで私も普段触れることのない中国の古典を一緒に楽しめました。あとはゆっくりと玉三郎様の舞台を味わってください。

Christina さんのコメント...

Pascalさん ありがとうございます、仰せのとおりゆっくり玉三郎さまの杜麗娘、牡丹亭の世界を味わってきます。

還魂記のあらすじのまとめは読後のメモとしてはじめましたが「回生」のあたりから引き込まれまして 街や人々のようす、庭園のようすが想像できて楽しかったです。

09年牡丹亭の上海公演のときに訪ねた同里退思園と蘇州滄浪亭などの写真も旅の印象を忘れないようにつけました。

PASCAL さんのコメント...

写真がとても物語の雰囲気にあっていて素敵でした。また愛用のカメラを使ってよい写真をアップしてください。