2010年10月25日月曜日

坂東玉三郎さんの牡丹亭 離魂

牡丹亭のどの幕も見ごたえがあるけれど 「離魂」の幕は鬼気迫るものがある。

雨音が響く舞台では 杜麗娘の生命が消えてゆくさまを 坂東玉三郎さんがたっぷりと見せてくれる、春香役の沈国芳さんの目からは涙がながれ、客席からもすすり泣きが聞こえるのだ。

青春の只中にある杜麗娘が 青春の想いだけで死んでゆくとは・・
その想いを切々と唄いきる玉三郎さんがすばらしい。
(杜麗娘)
はるかなる空 月はいずくより湧く
玉杵 秋の空
誰によりてか薬ぬすみ
嫦娥をば奉ぜん
など西(あき)風の吹きて
夢のあとなき

人去りて逢い難き
神鬼の挑弄にあらず
悲しみは眉が根
胸のうちぞ痛む
(悶える)

中国古典文学大系53戯曲集下還魂記(岩城秀夫訳)81頁
第20幕 夭折を悼む より
今この時も玉三郎さんの歌声が響いていることでしょう、公演もあと3日を残すのみです。

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