2010年6月9日水曜日

湯顕祖の牡丹亭(26)

同里退思園


中国古典文学大系53戯曲集下還魂記(岩城秀夫訳)115頁
第26幕 画像の鑑賞 から

柳夢梅は散歩中にみつけた小箱をあけてなかの画をじっくり鑑賞します。結局観世音菩薩でも月の女神嫦娥でもなく美人が自らを写したものだろうと推察します。
画の中の杜麗娘が書き付けた一首
近く覩て分明 儼然たるに似たり
遠く観て自在飛仙の若(ごと)し
他年 蟾宮の客に傍(そ)うを得ば
梅辺に在らずんば柳辺に在らん
を見てまるで自分のことのようだと思います。
柳夢梅は応えるように一首書き付けます。
丹青の妙処 卻って天然
これ天仙ならずんば即ち地仙
蟾宮に傍わんと欲す 人近遠
恰(あたか)も春は柳梅の辺に在り
そして柳夢梅はこころをこめて画中の美人に呼びかけます。
美しいお方
美しいお方
お嬢さん
お嬢さん

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