2010年9月2日木曜日

湯顕祖の牡丹亭(47)

蘇州滄浪亭の大樹


中国古典文学大系53戯曲集下還魂記(岩城秀夫訳)220~227頁
第47幕 包囲を解く から

杜麗娘の父杜宝が守る淮城を兵糧攻めにしている溜金王李全の心もちとしては 杜宝の援軍が大挙して攻めてくるのではないか、また日が経つのに功を挙げられない自分が金から責められるのではないかと内心進退きわまったと感じていました。

そこへ金から使節が到着します、言葉が通じないので通訳を介してもてなしますが 使節は妻楊氏の歌や踊りがいたく気に入り夜の相手をしろと無理を言い出します。怒った李全は鎗で使節をからめ倒します、
貴様の赤ひげ踏みつけ 
腥(なまぐさ)き喉もと
生きながら締め殺さん
楊氏は使節を逃がしますが李全は金がこのことを知ったら安穏では済むまいと思います。そこへ淮城から陳最良が書面を携えて帰ってきます。杜宝が書いた書面には 
代々御高誼の杜宝、李王の麾下に頓首す
もう一通の夫人への密書にも
代々御高誼の杜宝、楊女王の帳前に斂袵(れんじん:えりを正す)す
杜宝、久しき以前より 大宋に奏上し、勅して夫人を封じて討金女王の職と為す
 と書かれていました。
(楊氏)
わが冠の上の黄金は輝きを増すであろう。
妾は帯甲の女王じゃ。近ごろ、妾の髪飾りや氈帽から兜までも、南朝風に一揃造って届けて下され。あなた(夫)も討金王になられましょう。
(李全)
ありがたくお受けしよう。
大宋朝に帰順せん 金家あるいは禍苗をなさん
一辺の金を失うただけで、二つの王位を得たぞ。
(楊氏)
三軍の者ども。われらは南朝に帰順することになった。しばらく淮城の包囲を解き、海上へ情勢をうかがいに行くぞ。
こうして淮城の包囲は解かれたのでした。

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